タイヤ ひび割れ 車検 基準|コード露出で即不合格・1.6mm未満と9,000円の罰則も解説
この記事の要点
- タイヤのひび割れで車検が不合格になるかどうかは、コード層(カーカス)が露出しているかどうかで決まる。深さの数値基準は法令に存在しない
- 溝の深さ基準(1.6mm以上)はひび割れとは別の独立したルール。どちらか一方でも基準を満たさなければ不合格になる
- ひび割れの判断根拠は保安基準第9条・細目告示第89条第4項・NALTEC審査事務規程7-11の3つの法令で構成される
- コード露出またはピンチカット(膨らみ)があるタイヤで公道を走ると、整備不良として普通車9,000円・大型車12,000円の反則金が科される
- 製造から10年または残溝4mm以下になったタイヤは、車検合否と無関係に交換を検討するタイミング(ブリヂストン推奨)
コード層が露出していなければ車検は通る——ひび割れの合否を決める唯一の基準
「ひび割れ」の深さ・幅・長さに関する数値基準は法令上存在しない。細目告示第89条第4項・NALTEC審査事務規程7-11-1(3)④が定める基準は「亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること」という文言であり、コード層(タイヤ内部の骨格となる繊維・金属の層)が露出している場合は即不合格、そうでなければ「著しい破損」かどうかを検査員が目視で総合判断する仕組みになっている。
「溝1.6mm基準」とは別ルール
溝の深さ1.6mm以上という基準は、乗用車・軽自動車・トラック等(最高速度40km/h以上)に適用される別の規定(細目告示第89条第4項第二号・NALTEC審査事務規程7-11-1(3)③)である。ひび割れの深さとは無関係の独立したルールなので、「ひび割れがあっても溝はある」「溝は1.6mm未満だがひび割れはない」のどちらの場合も、それぞれ別の基準で不合格になり得る。
溝の確認には、タイヤのサイドウォールに等間隔で配置されたウエア・インジケータ(残溝1.6mmで路面と同じ高さになる突起)が使える。NALTEC審査事務規程では「ウエア・インジケータにより判定しても差し支えない」と明記されている。
二輪自動車・側車付二輪自動車の場合は溝基準が0.8mm以上と異なる点も押さえておきたい。
判断根拠は3つの法令——保安基準第9条・細目告示第89条・NALTEC審査事務規程7-11
タイヤのひび割れ審査は上位法から細則まで3段の法令で構成されている。上位の規定ほど抽象度が高く、下位の規定が具体的な判定基準を定める構造になっている。
| 法令 | 条文番号 | 規定内容 | 改正・版情報 |
|---|---|---|---|
| 道路運送車両の保安基準(e-Gov) | 第9条第2項 | 「自動車の空気入ゴムタイヤは、堅ろうで、安全な運行を確保できるものとして、強度、滑り止めに係る性能等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」 | 昭和26年運輸省令第67号 |
| 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 | 第89条第4項第三号 | 「亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること」 | 2025年1月10日改訂版 |
| NALTEC審査事務規程(独立行政法人自動車技術総合機構) | 7-11-1(3)④ | 「亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること」(検査方法:視認等その他適切な方法) | 最終改正:令和8年(2026年)7月30日(第66次・規程第15号) |
保安基準第9条はタイヤの性能要件を「告示で定める基準に適合すること」として委任し、その告示が細目告示第89条にあたる。NALTEC審査事務規程は検査の実施手順を定めた規程であり、検査員は「視認等その他適切な方法」によって審査を行う。
一次情報リンク(直接参照用)
- 保安基準第9条:e-Gov 道路運送車両の保安基準
- 細目告示第89条:国土交通省 告示PDF
- NALTEC審査事務規程7-11:NALTEC 審査事務規程PDF
サイドウォール・トレッド面・ピンチカットで合否の「重さ」が変わる
ひび割れの部位や形状によって、検査員が「著しい破損」と判断するリスクは大きく異なる。以下に部位別の傾向を整理する。
| 状態 | 合否の傾向 | 根拠 |
|---|---|---|
| トレッド面(接地面)の浅いひび割れ(コード非露出) | 継続使用の余地あり。検査員の目視判断による | 細目告示第89条第4項・NALTEC7-11-1(3) |
| サイドウォール(側面)のひび割れ | 乗り越えの衝撃を直接受ける部位であり、同程度の深さでも著しい破損と判断されやすい | 同上 |
| コード層(カーカス)の露出 | 即不合格。深さに関わらず合格できない | 細目告示第89条第4項第三号 |
| ピンチカット(局所的な膨らみ) | 内部損傷のサインであり、著しい破損に該当するとみなされやすい | NALTEC7-11-1(3) |
ピンチカットは段差乗り上げ時の衝撃でカーカスが内側から損傷した状態で、外観上は丸い膨らみとして現れる。コードの断裂を示すことが多く、ひび割れよりも危険度が高い。
判断が分かれる論点
コードに達していない浅いひび割れ → 継続使用の余地あり コードに達していないひび割れは「著しい破損」に当たらないと判断される場合が多い。ただし目視審査のため検査員により判断が分かれることがある。
コード露出またはピンチカット → 即交換 コードが見えている状態や膨らみは合否を問わず走行リスクが高く、交換が必要となる。
車検前5分のセルフチェック——コード・ピンチカット・溝深さの確認手順
車検当日に業者から「要交換」と言われないためにも、事前に以下の3点を自分で確認しておく。
1. コード層の露出確認(タイヤ全周・トレッド面とサイドウォール) タイヤを光に当てながら全周をゆっくり目視する。黒いゴムの下に繊維(白・グレー)や金属(銀色)が見えている箇所があれば交換が必要。
2. ピンチカットの確認(サイドウォール全体) サイドウォールを外から指で軽く押しながら一周確認する。丸く盛り上がった部分や局所的な膨らみがあれば、内部損傷のサイン。
3. 溝深さの確認(ウエア・インジケータ) タイヤ側面に三角マーク(▲)が刻まれており、その延長線上のトレッド溝内にインジケータ(小さな突起)がある。インジケータが路面と同じ高さになっていれば残溝1.6mmに達しており車検不合格。ブリヂストンは安全性の観点から残溝4mm以下での交換を推奨している。
交換が必要なタイヤの判断基準——コード露出・製造10年・残溝4mmの3条件
車検合否の判断とは別に、安全上の交換目安をまとめた。
| 状態 | 交換判断 | 根拠 |
|---|---|---|
| コード層の露出あり | 即交換(車検不合格・走行不可) | 細目告示第89条第4項第三号 |
| ピンチカット(膨らみ)あり | 即交換(内部損傷の可能性が高い) | NALTEC審査事務規程7-11-1(3) |
| 残溝4mm以下 | 交換推奨(雨天での安全性が低下) | ブリヂストン推奨 |
| 製造から10年以上経過 | 交換推奨(外観に問題がなくてもゴムが劣化) | ブリヂストン推奨 |
| 使用開始から5年以上経過 | 専門店での点検を推奨 | ブリヂストン(S6のみ根拠) |
製造年週はタイヤサイドウォールのDOTコード末尾4桁で確認できる。末尾2桁が製造年、前の2桁が製造週を示す。
タイヤの偏摩耗が見られる場合は、ひび割れとは別の原因(アライメントや空気圧)が疑われる。詳しくはタイヤ偏摩耗の原因と対処法を参照してほしい。
ひび割れタイヤで公道を走ると車種別に9,000〜12,000円の反則金になる
コード露出や著しいひび割れがある状態で公道を走行すると、道路交通法第62条(整備不良車両の運転の禁止)違反となり、反則金が科される。根拠は道路交通法施行令別表第六(第45条関係)第十六号「自動車等整備不良(制動装置等)」で、走行装置もこの対象に含まれる。
| 車種 | 反則金(整備不良:制動装置等) |
|---|---|
| 大型車 | 12,000円 |
| 普通車 | 9,000円 |
| 二輪車 | 7,000円 |
| 原付等 | 6,000円 |
車検合格後であっても、走行中にひび割れが進行してコードが露出した状態になれば整備不良として取り締まりの対象になる。車検の合格と公道走行の適法性は別の問題である。
なお、違反点数については本記事では一次情報での確認が取れていないため言及しない。
タイヤ交換の費用目安——組み換え工賃4,400円〜・4本総額は車種別で6〜13万円
交換を決断した場合のコスト感として、オートバックスの工賃とブリヂストンの総額目安を整理する。
工賃内訳(オートバックス・税込目安)
| 作業項目 | 1本 | 4本分 |
|---|---|---|
| タイヤ脱着(タイヤ・ホイール交換) | 1,100円〜 | 4,400円〜 |
| タイヤ組み換え(タイヤのみ交換) | 1,100円〜 | 4,400円〜 |
| ホイールバランス調整 | — | 4,400円〜 |
| ゴムバルブ交換 | 440円〜 | 別途(1本440円〜) |
| 廃タイヤ処分料 | 440円〜 | 別途(1本440円〜) |
上記はあくまで工賃のみ。タイヤ本体代を含む総額の目安はブリヂストン公表値(工賃込み)で以下のとおり。
| 車種・タイヤサイズ目安 | 4本交換の総額目安(編集部整理) |
|---|---|
| 軽自動車(165/55R14相当) | 60,000〜80,000円 |
| 普通自動車・セダン/コンパクト(205/55R16相当) | 約87,000〜126,000円 |
スタッドレスタイヤへの交換工賃についてはスタッドレス交換工賃の相場(軽自動車)も参考にしてほしい。
よくある質問
Q1. タイヤにひび割れがあっても車検は通りますか?
ひび割れの状態によって異なります。コード層(タイヤ内部の骨格繊維・金属層)が露出していない場合は、検査員の目視判断によって合格になることがあります。コード層が露出している場合は即不合格です。細目告示第89条第4項第三号・NALTEC審査事務規程7-11-1(3)④が「亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること」を基準と定めており、深さの数値基準は設けられていません。
Q2. サイドウォールのひび割れは特に厳しく見られますか?
一般的にサイドウォールのひび割れはトレッド面よりも厳しく判断される傾向があります。サイドウォールは走行時の屈曲や段差の衝撃を直接受ける部位であり、同程度のひび割れでも「著しい破損」と判断されやすい箇所です。検査員が「視認等その他適切な方法」(NALTEC審査事務規程)で総合的に判断するため、車検前にサイドウォールのひび割れを確認した場合は専門店への相談を検討してください。
Q3. ひび割れのチェックは自分でできますか?
はい、基本的な確認は自分でできます。タイヤを光に当てながら全周を目視し、黒いゴムの下にコード(繊維や金属)が見えていないかを確認します。あわせてサイドウォールにピンチカット(局所的な膨らみ)がないかも確認します。溝の深さはタイヤ側面の三角マーク(▲)延長上にあるウエア・インジケータで確認でき、NALTEC審査事務規程もこの方法を認めています。
Q4. 製造から何年経つと車検で交換を勧められますか?
法令上の製造年数基準はありません。ただしブリヂストンは製造から10年以上経過したタイヤは外観上問題がなくても交換を推奨しており、使用開始から5年以上経過した場合は専門店での点検を勧めています(S6が根拠)。製造年週はタイヤサイドウォールのDOTコード末尾4桁で確認できます。末尾2桁が製造年、前の2桁が製造週を示します。
Q5. ひび割れタイヤで走ると罰則はありますか?
あります。コード露出や著しいひび割れのある状態で公道を走行すると、道路交通法第62条(整備不良車両の運転の禁止)違反となり、道路交通法施行令別表第六(第45条関係)第十六号に基づく反則金が科されます。金額は普通車9,000円・大型車12,000円・二輪車7,000円・原付等6,000円です。車検に合格していても、その後にひび割れが進行して整備不良となれば取り締まりの対象になります。
Q6. タイヤ交換を車検のタイミングでまとめると費用はいくらですか?
タイヤ本体と工賃を合わせた総額目安として、軽自動車(165/55R14相当)で4本60,000〜80,000円、普通自動車・セダン/コンパクト(205/55R16相当)で4本約87,000〜126,000円がブリヂストン公表の目安です(工賃込み)。工賃だけで見るとオートバックスの場合、組み換え4本4,400円〜・ホイールバランス調整4,400円〜・廃タイヤ処分440円〜×4本が主な内訳になります。車検のタイミングで交換すると脱着工賃を車検整備と合算できる場合もあるため、車検業者に確認してみてください。
Q7. スリップサインが出たタイヤと、ひび割れタイヤは別の問題ですか?
はい、別の審査基準です。スリップサイン(ウエア・インジケータ)の露出は溝深さ1.6mm以下を示し、細目告示第89条第4項第二号違反として不合格になります。一方、ひび割れ(亀裂)はコード層の露出等著しい破損がないかを同第4項第三号・NALTEC審査事務規程7-11-1(3)④で審査します。両方とも同じ条文の異なる号に基づく独立した基準であり、どちらか一方でも基準を満たさなければ不合格となります。